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続・寺島洋品店

R0011019.jpg


写真を撮る目的で あちこちに出かけるのだけれど

そのいつの時も 便利なのがコンビニ。

たいていの街に それはある。


赤平市に着いたのは お昼前だった。

朝は 美瑛町近郊の水辺で撮影していたこともあり

冷えた体を温めるため あたたかな昼食を摂るため

カメラマンの基地(?)とも呼べるコンビニに まずはピットイン。


購入する商品を 迷っている素振りで 店内をウロウロ。

日常では考えられないほどの厚着という あやしげな風貌で。。


その間に店内の暖房のきいたあたたかな空気を 十二分に吸い込んでおき

氷点下の街をさまようためのエネルギーを 心身にチャージするというわけ。。


そしてシャッターの閉まった寺島洋品店のまえで おじさまに出逢ったのは そのすぐ後だった。


「若いもんは みんな巣立って行った。。」とおじさま

街のお店の数も ずいぶん減ったと言う。。たしかに シャッターに閉ざされた店がかなり多かった。


酒屋商店 焼肉店 民宿。。


だけれど おじさまは「巣立って行った」と言った。

ともすれば 若者は大きくなるとともに 街を出て行き

その結果 また一つまた一つと 店のシャッターは閉ざされたに違いなく

そこに 過疎という2文字が浮き彫りになっていったに違いない。


ただ 私の目の前のおじさまは そうは言わなかった。


若者は 巣立って行ったのだ。。

この街から 巣立って行ったのだ。。


そして 「店は減ったけど コンビニはできたなぁ。。時代だなぁ。。」

とおじさまは さっきのさっきまで そのコンビニに 

どっぷりお世話になっていた 私の顔をみながら笑みを浮かべた。。


そして「飲み屋さんも 少なくなっちゃいました?」と 

明らかに若い女性は 聞かないであろう質問をする 私。。すると


「飲み屋はスタレれんなぁ ハッハッハ」


と おじさんは高笑いで

三十路を とうに過ぎた私も一緒に高笑い。


私は その「飲み屋」に灯りがともる光景を見たくなった。

夜のトバリがおりて 昼間よりかなりシバレてきた街を彷徨う。


街に夕刻を告げる時報がなり

所々の家の窓に 灯りがともりはじめ

肩をすくめながら その家路を足早にたどる人影と

街を見下ろす高い空には やさしげにひかえめな三日月の姿


そして 探し求めた飲み屋さんは メイン通りに面して そこにあった。

だけれど その看板に まだ灯りはともっていない。

壁から突き出た石油ストーブの排気口からは 煙がでており 

おじさまの「スタれてない」の言葉を証明していた。


開店準備をしているであろう店内は きっとあたたかいに違いない。

ちょいと薄着で キラビやかな おねーさんがいたりして。。

そう想像するだけで 冷えきった私の体はあたたまる。。訳は無く。。


看板の灯りがともる夜更けまでは 待てない私だった。。が

とある板べい造りの家に 灯りがともっているのを みつけた。

今もそのような古い家に主が住んでいるのは 

この街では 一軒だけとおじさまが 言っていたのだ。


その家の灯りに安心を覚え 私は 家路についた。。






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Comment

うめじろう | URL | 2013.01.17 17:30
「巣立って行った」
おじさまの言葉には重みがありますね。

私も十勝の過疎の町から、かつて「巣立った」者です。
昔お世話になった方々のこと、思い出しました。
Kanako Gotoh | URL | 2013.01.18 19:11

北海道出身でいらっしゃるのですね♪
おじさまは 重みがあるし 器が広いですよね。ある意味 巣立っていくのが当たり前の事ですものね。
それまでを育んだ街は偉大におもえるし 寂しさや過疎だとかいう言葉は 必要ありませんものね♪
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プロフィール

ごとうかなこ

Author:ごとうかなこ

神奈川県生まれ
中学生の頃から写真に興味を持ち、26歳で北海道に移住。現在は美瑛町在住。
(株)フォトシーズン勤務を経て、カメラマンとして撮影に携わる。

mail:kanakogotoh@gmail.com

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